Alive2017行ってきましたレポート
Live2D公式イベントであるAlive2017に参加してきました。
alive2017.live2d.com
行ってきたので、すでにAliveの記事はいくつもあるのですが自分のまとめた内容を公開していこうと思います。
箇条書きに近い文章だけです。画像はありません。ご容赦ください。
基調講演
Alive参加者アンケートの内訳
従事している仕事では
50%がグラフィック関係者
10%それぞれでプログラマと学生が参加者になっていた。
Cubismユーザーの利用用途として
ゲーム・アプリが45%
アニメ・映像が40%
利用目的としては
趣味が44%
個人業務で36%
購入比率としては
個人71%
企業29%
みたいでした。
やはりグラフィック寄りの方々が多いみたいですね。
最近はアニメ映像も増えているみたいですね。結構リアルタイム系が多いと思ってました。
Cubismについて
3.0では開発環境をKotlinに変更
3.2実装予定のもの
スキニングの実装(3.1.xでβ実装予定)
インポート機能の強化
PSD書き出しの対応
アニメータの強化
が掲げられていた。
- SDK3.0
C言語フルスクラッチ開発
コアの上にあるレンダラやフレームワーク部分はOpenにしてユーザーがいじれるようになった
- Unity SDK
- Native SDK
ライブラリをCで実装
- JavaScriptSDK
CをEmscriptenでarm.jsに
- feature
各種プラットフォームの対応強化 → DirectX,Cocos-2dxなど
3.0状況下で2.1ワークフローが動くようにする(pose,expressionなど)
SDKはUnitySDKしか触ったことが無いのですが、2.1より格段に使いやすくなった印象です。
また、今後の方針としては全体的にプラットフォームの強化をしていくのも嬉しい話ですね。
2.1ワークフローが動く仕組みは企業向けだと思われます。個人でも規模が大きくなると移行が大変で結局前バージョンのままってのがあると思うので、そういう方にも嬉しいですね。
Euclidについて
コンポジット機能、楕円補間は特許取得済み
- まだ未実装なもの
Phython対応
MacOS対応
Euclid1.2では長い髪を効率よく作れるようになった。
- feature
制作工程50%減
SDKを用いたHMDを用いたVR表示で3体表示
今回Euclid × MRを展示していたものの抽選展示
VR Girlsが12月4日18時からSteamで配信
store.steampowered.com
Euclidはどうやら制作が大変みたいですね。ほとんど触ってないので経験値が少ないなので何とも言えないのですが。
公式からEuclidを使ったVRゲームが出たのは大きいと思います。無料ですし、HMDを持ってる方はインストールしてみては如何でしょうか?
私も入れて遊びました。キャラ可愛いですね。
Live2D Creative Studioチーム
Live2Dの制作支援を行っているチーム。
どうやらLive2Dクリエータが枯渇しているみたいです。(募集中ってことですね)
現在は映像に力を入れている。
Alive2017のイベント内で公開されていたムービー「The Lamp Man」を観ると技術力の高さが伺えますね。
「Live2Dらしい独特な動きが無い」というのが、制作したことある人なら誰もが驚く点だと思います。
展示スペースでLamp Manのモデルを触りました。360度回転もするレベルの高いモデルであると共に、可愛かったです。あと展示スペースにあったLamp Manのアクリルスタンドが特に良かったです。
2次マ
新サービスとして2次マという名前で発表されてました。
正式名称は“2次元のマーケット”
イラストを描く人、そのイラストを活用してモデルを作る人、そしてそのモデルを購入して何かを作る人
という構図を備えたサービスのようです。
分業が捗る、そして何よりお金が稼げるというサービスです。
また、このサービスを通じで企業の人がモデル制作者を見つけやすくする出会いの場が作れるのではないか?という仮説も提唱されていました。
そして、発展形としてAPIの提供でアプリ連携を強化する。有名キャラの二次創作を可能にする。という展望も見られました。
リリースとしては2018年春を目標に動いているようです。
ソフトではない、全く新しいサービスですね。気になりますね。
このサービスを通じて魅力的なモデルが増えたりするのに期待が持たれます。
あと、Live2Dアニメータを探している企業との出会いの場、というのが個人的には惹かれた部分です。
ツイッターにモデルを投稿して企業から声がかかったりしたという話も聞きますし、そのような話がこのサービスを通じて増えるのかもしれないですね。
セッション
ここではセッションで見聞きしたことを列挙していきます。
いくつか見たのですが、ここでは2つほど紹介をします。
デスティニーチャイルド制作事例
映像や画像についてはこちらの記事様が大変よくまとめた上で記載されています。併せてご覧ください。
jp.gamesindustry.biz
モデルは韓国版デスティニーチャイルドでの、シーズン2のレイド大ボス。翻訳Wikiでは「バリ」と訳されていました。
また、バリは日本版では現在未実装であるものの「還生館」の主という、ストーリー・攻略共に重要な立ち位置に立っているキャラクターです(還生館では別途作成された立ちモデルが動いてます)。
シーズン2のレイド大ボスだけあって、Live2Dアニメータのキム氏も頑張ったと言われていました。
- モデルの分類
まずモデルの分類ですが、本体・光源・装飾要素に分けているそうです。
光源は本体の周りに浮いている提灯から受ける光です。これを本体のモデルと別に分けて透明度を変えることで光源から光を受けているという表現を行っていました。
光源の透明度に併せて、提灯の光も同様に透明度で明るさ調整を表現しているそうです。
- 姿態の強調
上半身と下半身を分割し、それぞれにパラメータを振り反対方向に動かすことで女性的な魅力が増す動きになるそうです。
このノウハウは他のモデルでも応用されてそうですね。
- 被ダメージのモーション
被ダメでのモーションは早く・短くというのを意識して付けられているそうです。
- Live2Dについて
一番原画の魅力が引き出せる気がするとキム氏。
Live2Dが使えるというのは十分武器になるとのこと。
- Q&A
Q.光源レイヤーはデザインが下りてきた時点で分かれていたのですか?
A.一部のみ。原画を分けた部分もあり、無理にでも分けた。
Q.アートメッシュに直接パラメータを付けていますか?
A.はい。細かくやるにはポリゴンをいじるのが一番なので
Q.1体制作するにはどのくらい時間を使っていますか?
A.2~3週間。制作事例のモデルは3週間程度
Q.ポリゴンはいくつくらいですか?
A.いつもは1500~2000程度。事例のは4000程度
Q.立体感表現で、立体感を付ける点で工夫した点は何ですか?
A.立体感は大事だけども、絵が崩れるのは良くない。感覚に頼っている。出来るのならば原画と同じレベルのイラストが描けるのが望ましい。
Q.キーフレームを打つコツはありますか?
A.カーブエディタで動きをなめらかにする。パラメータ設定の時に、左右のオブジェクトが動く移動量を同じにする。
(3点挿入の場合)中央から伸びる左右のパラメータは同じにして、左右の移動量は同じに。そうしないと、アニメーションを付けるときに動きに違和感が生じてしまう。
Q.Live2Dアニメータは何人ですか?
A.社内では5人。あとは外注を使うなどしている。ただ、重要度の高いモデルは社内制作。
Q.フレイ(本編主人公のライバル)の角などの描画順変更の設定はどうやって表現しているのですか?
A.隠すようにパラメータを振れば、案外無理して動かせるので、そのように行ってる。
Q.今後Live2Dでやりたい表現は何ですか?
A.モデルを90度以上回転させてみたい。
講演自体が短く、質問時間が長かったので色々な意味で満足な講演でした。
デスティニーチャイルドは韓国版少しやっており、本格的に始めたのは日本版クローズドβからだったので講演が聞けて個人的に大変うれしかったです。
レイドボスというかなり重要度の高いモデルの事例なので、ノウハウの塊という印象でした。自分でも参考にしたい技術がたくさんありました。
いやぁ、絵も綺麗だし、その魅力を損なわないモデルの動かし方をしてて感嘆の一言です。
個人講演 モーセル氏
ツイッターやPixivのうごイラでLive2Dを使ったモデルをいくつも公開されている方です。
- Live2Dをはじめたきっかけ
絵描いて、ゲームを作りたい!
→ドット絵:何か違う
→3DCG:ハードルが高い
→スプライトアニメーション:「絵を動かす」とは遠い
という中でLive2Dに会って、触ったそう。
- 初めてのモデル制作にあたって
シンプルなモデルを作る → 面白くない
→「Live2Dっぽくないものを作りたい」
として、1枚絵の構図でLive2Dを制作。
- できること<やりたことのバランスを見極める。
→出来そうなものより作ってて面白いもの、グッとくるものを作りたい
→そもそも“グッとくるもの”とは?
→1枚絵で考えるのならば「想像をかき立てるもの」。5W1Hが絵の中で分かると絵の魅力が伝わりやすい
→これにLive2Dで動きを加えることで、補完ができるのではないか?
→動きを入れることで空間・時間的に「奥行き」のあるものが作れるのでは?
という深掘りしていく思考を用いていた。
作例の中では
「様々な表情の表現」、「2人の絡み」、「1人称視点」、「感情の振れ幅の表現」、「ループで飽きさせない仕様に」
などなど、Live2D作品ごとにテーマを決めて制作をされていた。
- ネットでの反応
Twitter、Pixiv共にフォロワー数やRTいいね、ブックマークなど数字で一気に反響があった。
3作目を投稿後位から仕事の依頼が来た(1年で10社程度)
フリーランスとしての活動も良かったが、Live2D Creative Studioが募集をしていたので、技術を身に着けるため就職をした。
- 体験を通じて学んだこと
ツイッターでは
多くの人の目に届く可能性がある
モーメント機能を利用して、ポートフォリオの形にするでも良い
Pixivでは
うごイラが1枚絵より数が少ないのでランクインを狙いやすい
ニコ静
上記2つとは違う層がいる。コメントがモチベに繋がりやすい
また、仕事に繋がりやすいと感じた。
動くものはSNSで伸びが良く、注目されやすい。
採用案件も多いので、売り手市場なのではないか?
- デザイナーになりたい個人ユーザーに向けて
趣味・仕事問わず「自分が動いているキャラが見たい」などのキャラ愛を持って触ってほしい
「もっと絵が評価されたい」とか考えている場合は、Live2Dで技術の付加価値を武器にしていけるので活用してほしい
とのこと。
- Q&A
Q.絵が全く描けないけども、Live2Dアニメータはやっていけると思いますか?
A.2次マの発表もあったし、全然大丈夫だと思う。分業の話もあるので。
個人講演をされていたモーセル氏はLive2Dとの馴れ初めからテーマを決めて制作をする、分析を行う、などを話されていました。
特に後半は分析が多くあまり見ない講演内容だったので、新鮮な気持ちで聞いていました。
やはり絵が上手いですね。羨ましいです。
そして絵を生かして動かすことも念頭に置かれているような話をされていました。この部分はデスティニーチャイルドの制作事例と重なるところですね。
やはり原画の魅力を生かしてこそのLive2Dなのと再確認できました。
おわりに
Aliveは他にも展示スペースを回ったり、懇親会で素晴らしい方々とお話ししたり夢のような時間でした。
来年は社会人になるので、自由に扱える時間が減ってしまうのですがコンテストに作品を出したり来年のAliveに参加したいですね。
これからもLive2Dを楽しんでいこう。そう思えるイベントでした。楽しかった。