上体研究(前編 - コンセプト作成・課題洗い出し)
現在位置
上体研究(前編 - コンセプト作成・課題洗い出し) (今ここ)
上体研究(中編 - 各部位の制作方向性検討)
上体研究(後編 - モデル作成)
モデル作成コンセプト
「90度近く曲がる上体」を綺麗に作りたい
- 特にシルエット変更を綺麗に行いたい
かつての制作物
モーションで活用した例が以下GIFです
(GIF品質の影響で目がチカチカしているのはご容赦ください)
2016年に制作したモデルです(Cubism2.1Editor使用)。
Alive用作品だったのと、急いで作ったのもあって再利用性が低いモデルでした。
深めの上体を作ったのですが、手探り・行き当たりばったりで作ったので品質に見合わずコストが高かったの印象でした。
腕はカメラに対して平行を維持、胸パーツの変形で無理に前後関係を表現、などある程度見れる形に作り上げて、この段階では終わりにしました。
今回作ったもの
前回作ったものを見て、以下の対応を意識して構築しました
- 腕をそれなりに奥行き対応できるように
- 顔の角度をしっかり付けれるように
- 鼻と胸の部分のシルエット変更をシームレスに
これを構築するまでのプロセス(課題洗い出し~モデル構築)を記事にしました。
使用したツール
SAI2
Photoshop CS6 Extended
Live2D CubismEditor 4.0.00
Live2D制作おける苦手な事
強い角度のパラメータ設定
横顔や、手の回転など「画面に垂直方向」の角度付けが難しいところです。
著しくシルエットが変化する動きは、付けにくい。とも言えます。
ただこの動きこそがモーフィングの真髄であり、より高いモデル品質を実現できると思っています。
もちろん「角度の強さ≠品質の高さ」ですが、角度を付けられるなら行けるところまで行きたいのが一部の人の性というものです。
顔の強いシルエット変化にどう対応する?
顔に関してはバランスが少しでも崩れると違和感になります。
加えてパーツが多く・細かく、調整が大変です。
この問題に解は2つあります。
A. パーツ差分を作って、動作中に切り替える
比較的難易度の低い方法です。
実装コストが低く、手軽に変化できるためよく活用されているのを目にします。
ただ、綺麗に切り替えるならば相応のスキルが必要になってきます。
指足・足先は動作が大きくなるため、動きの最中に切り替えれば違和感なく動作できます。
例:Live2Dの教科書(横顔を作る)・公式サンプルモデル(受付ハル・桃瀬ひより)など
サンプル
顔ではないですが指での切り替えサンプルです(QQUACKさん)
1番手の場合には、指のイメージを2本用意して、爪が見えた瞬間、指のイメージを切り替えるにしました。#Live2d pic.twitter.com/Tvm2gSPFbh
— QQUACK (@KCAUQQ) 2019年4月15日
B. 線、着彩を分割。追加線も用意しつつシームレスに動作させる
難易度の高い実装です。
モデル調整がシビアになり、破綻しやすかったりモデル汎用性に欠けます。
しかしシームレスに動作する極めて品質の高いモデルが完成します。
サンプル
外輪郭を活用しつつ、影面積の変化で横顔を表現(モーセルさん)
顔の90度回転について、鼻を塗り・線(上・中・下)と細かく分け、塗り部分で左目を隠しつつ鼻上線の不透明度を変えて鼻の輪郭が出るようにしてます。あとは顔のハイライトや首の影を細かく分ける、顔の手前側の輪郭線も分離させるなど、立体感が強調されて横顔がかっこよくキマるように工夫してます。 pic.twitter.com/Lm3mOcgA4g
— モーセル🎧 (@mxsxrxx) 2018年1月7日
線をクリッピングを用い、横顔変化を表現(山風さん)
そういえば、この前ホノルルの横顔、個人的な作る方です。ご参考いただければと思います #Live2D pic.twitter.com/NF9bJqFhPl
— 山風🌼ゲーム制作中 (@tobu616) 2019年10月13日
このあたりになると完全にアイデア勝負になってくる印象です。
モーセルさんのが基本形として、山風さんのは発展形というように感じます。
その他、それなりの方々が手・指・胴体などなど強い角度を作っていたりします。怖い。
課題と具体的な対策は以上です。
中編では参考資料を見つつ、アートメッシュ変化を洗い出していきます。