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上体研究(中編 - 各部位の制作方向性検討)

現在位置

上体研究(前編 - コンセプト作成・課題洗い出し)
上体研究(中編 - 各部位の制作方向性検討) (今ここ)
上体研究(後編 - モデル作成)

この記事で話すこと

前編ではLive2Dでの表現難易度の高い課題と、それに対する対策方法を見てきました。
中編では参考資料をみつつ、動きのイメージを付けていきます。

作るための参考文献

MMDのお辞儀モーションを見て、必要な表現を洗い出します。
フレーム単位で頭に動きを叩き込めれば理想です。
以下は参考にしたモデルとモーションです。

seiga.nicovideo.jp

www.nicovideo.jp

2つをMMDに読み込んでフレーム単位でシルエットを見ていきます。(MMDについてのインストールや操作は割愛します)
参考にするモーションは「カーツィ_カジュアル.vmd」です。(一番深い上体を行っているため)
f:id:traitam:20191116171912p:plain

特に参考にする箇所は0~40フレームの部分です

参考要素の抽出

頭部

髪に関しては、前髪・横髪・後ろ髪を分割するのはもちろんですが懸念としては「後ろ髪と頂点髪を分割するか」というところです。
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0f地点と30f地点では大きく髪の面積が変化します。特に頂点部分の面積変化が大きいです。
分割しても良いですが、分割したパーツを大きく縮めるとピクセルが詰まってボカシが無くなりジャギが発生してしまいます。
モデリングスキルでカバー」も出来ますが、面倒なのでなるべく避けたい…。

というわけで頭頂部・後ろ髪でパーツ分割をして対応しようと思います。
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理由としては「輪郭パーツを隠すのに四苦八苦して嫌な制約が発生する」のを避けるためです。
画像右下のように描画順を前から、前髪・(横髪)・頭頂部・輪郭・後ろ髪、にします。
頭頂部の線に関しては、一緒にすると潰れすぎて違和感になると予想されるので別パーツにして不透明度で管理します。

頭頂部と後ろ髪の繋ぎ目で不整合が起きそうですが、ここではグルー機能を使うなどして対応したいところです。
docs.live2d.com

顔の輪郭

山風さん式シルエット変化手法が良さそうなので、参考・実践してみたいと思います。

クリッピング先と元を用意して、動作に応じて変更させます。
ここばっかりはパラメータ点が増えるのが予想されますが仕方ないとして、それでも少しでも減らす努力をしながら構築していきます。

顔パーツ

角度XYの発展形として形を変形させていきます。
角度ごとの顔シルエットを意識して見え隠れを設定します。
参考にしているモデルでまつげは前髪が被さって初めて見えなくなるので、おでこに隠す用パーツは作成しない方向で行きます。
もし、彫りが深いキャラクターを作る場合は彫りで隠す用のパーツがあってもいいかもしれません。

胴体

まずはフレーム単位で動かして要素を抽出します。
下記画像は線の特徴が変わる遷移を意識してピックアップしました。
上から、9f -> 22f -> 26f -> 29fです。
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26f時点で胸の線が出ています。そこから29fで完全に線が繋がりました。
このことから、上半身は胸・くびれでパーツを分けた方がよいと考えられます。

また、くびれ・腰で分けます。人体骨格の関係上良いですし、骨盤以下は上半身ほど大きく動かないためです。

お辞儀をしたときのくびれ部分に関しては大きくシルエットが変わらないため、クリッピングでシャドウを乗せるだけにして「胸部より後方にいる」説明を付けます。

鬼門です。
胴体の角度が大きく変わり、それに付随して腕が大きく角度を変えます。
特に上腕が大変です。モーションではおよそ50%変化しています。
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前腕に関しては、モーションではおおそ20%サイズが上体の方が短くなっています。
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手袋のフチと手首の線は動きが激しい、さらにこれが角度の説明になるので別パーツにして強い変形に耐えられるようにします。

先行作例

腕に関してLive2D作品では、まかかびさんの作例があります。
まかかびさんの作例では、上腕を隠す形で前腕を動かしています。
gifmagazine.net

下半身

通常のモデル作成と同じにします。
上体のときに、スカートを少し上にあげて下半身の微妙な動作を説明します。

これで各場所の変形のイメージがそろいました。
最後、後編は実際に作成していきます。

後編
traitam.hatenablog.com