ガレージ暮らしのトライタム

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上体研究(後編 - モデル作成)

ラフの作成

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まずはラフを作成します。
今回はシンプルに膝までの正面モデルにしました。

分割

分割は線画を起こしながら同時に分割するスタイルを採用しました。
パーツ数は49です。
比較的少ないと思われるパーツ数なので、動きに無理が出るようなら更なる分割が必要になります。

着彩

今回はシルエットの変更練習ということでベタ塗りだけにしました。
基本的な着彩に加えて、線とクリッピング用素材があります。
上体では鼻先と胸のシルエットが大きく変わりそうだったので、専用の線と着彩を用意しました。
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最終的に表示物をすべて出した状態でpsdでインポート用処理を行って、CubismEditorにインポートします。
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モデリング

アートメッシュ編集

アートメッシュは基本自動割り付けです。
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点の間隔(ピクセル)を75にする以外はデフォルトで設定します。

変形を綺麗に行いたい部分は、別途手打ちで行います。今回、まぶた・眉のなどの他に上腕(手袋)などをを手打ちします。
打ち方は基本的に「線を囲むようにして、綺麗に変形する」ように設定します。
肩部の面積で角度の表現を行いたいので、肩部の線も手打ちしていきます。
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デフォーマ

上体変形用デフォーマは「基本パラメータ用デフォーマ」の親階層に設定します
位置が大きく変動するので、子階層に上体用デフォーマを用意すると親階層のデフォーマが置いてけぼりになるためです
(失敗例:肩のすくみデフォーマが上体変形から置いてかれている)
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パラメータ

デフォーマで上体用のものを作成し、そこにパラメータを付けていきます。
中編で見た、変形の具合を頭で思い出しながらパラメータを作っていきます。
基本は両端のみですが、パラメータの最中に破綻があるようならば別途追加してきます(例:上腕)
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クリッピングは動きに合わせて拡縮します。
下の例はクリッピング用の黒を上体の動きに合わせて拡縮しています。
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今回は基本的な拡縮・移動で実現できましたが品質を上げるには「どこから線を見えるようにするか?」を考えながら変形を行う必要があります。
それはパラメータ内に多くの緑点が打たれることを意味しており、ここはどれだけ品質を担保すれば良いか、を考えながら設定していく必要があると思います。

あと今回は新しい試みとして頭頂部・後ろ髪の2つに分割してパラメータを設定しました。
分けた理由としては「輪郭の隠しが苦手」なためです。輪郭に強い変形を行うと角度XYブレンドして四隅を作るときに荒れるのが嫌で今回のアプローチをしてみました。
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…イマイチかも?今回はベタのみだったので違和感なく変形できましたが…。
もうちょっと顔の輪郭を隠す時のノウハウを溜めて、分割を再検討した方がよい印象でした。

アニメーション

今回のモデルでは上体・目の開閉の2つだけパラメータを作り、パラメータでモデルに極端な破綻が無いかの確認程度のアニメーションを作成しました。
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パッと見は特に大きな問題は無さそうなので今回はこれでOKとします。

課題・懸念

以下は課題懸念です

課題

  • 口・鼻周りの処理が少し甘かった印象
  • 頭頂部の処理が思うように楽ではなかった。もっといいやり方があるかも
  • シルエット変形用の線で、クリッピングの黒を「どこから」乗せれば良いか曖昧だった
  • ひよってワープデフォーマで設定したが、移動しかしてないので所々回転デフォーマで代用できた

懸念

  • 今回はベタ塗りなので、もし厚塗りや独特な着彩で実現する場合は、また違う手法が必要になる
  • 上体パラメータ追加による基本パラメータ付けの難易度が上がる
  • ほかの動きと、どう干渉するか未知数。どの程度まで干渉するかでモデル作成の難易度が変化する
  • 品質とパラメータ点数が比例しそうなので、品質の着地点がいくつかあると構築で迷子にならないで済むかも

おわりに

今回は「綺麗なシルエット変更」に加えて「角度の説明」を意識しながら作成しました。
やはり先行事例があると、まねるだけで構築できるのは大変楽ですね。先人に感謝を。
角度による変化や「どうしたら意図した角度に見えるのか」は、絵についての知識が必要なのかもしれません。

どうしても記事だと伝わらない部分が多いのでモデルの配布をします。
研究・学習用にのみお使いください。(ダウンロードなど出来なかったらツイッターにご連絡ください)
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それではみなさん、楽しい創作ライフを!


翌日のLive2D Advent Calendar 2019 - Adventarは、もふもふさん🐈ゲーマー&エンジニア系V準備中 (@Moffu360) | Twitterさんです。お楽しみに!